どんな病気ですか?
何かのきっかけでふとした考えが浮かび、それで不安になって手を洗ったり、確認したりする病気です。何ヶ月かするうちに手洗いや確認を何度も繰り返すようになり、時間や手間を取られてしまうようになります。不潔恐怖や潔癖症、加害恐怖、確認癖などとも呼ばれます。チック、爪噛み、抜毛などの小児期に生じる病気も強迫症と類似した病気です。原井クリニックではこうした症状がある就学前の子どもも診ています。
どこから病気ですか?
強迫症の症状自体は病的ではありません。頻度や回数が問題です。おおよそ人の3倍以上、たとえば紙や洗剤の使用量が3倍以上、鍵の確認に戻る回数が3回以上になれば病気と言って良いでしょう。症状は月日をかけて徐々に頻度が増えていきます。いつから多すぎになったかは決められないことが普通です。症状が起きやすい場所や状況が限定されていることが多いです。職業上の理由で手洗い・確認が多くなることもあります。こうした方がきっかけになった仕事をやめても、手洗い・確認の癖を続けてしまうならば、病気と言ってよいでしょう。
自然に治りますか?
強迫症の場合、ストレスを避けてできるだけ休むようにするという常識的な対応が、かえって悪化の原因になります。
強迫について本やネットを徹底的に調べました。私の症状はどこにも書いていないのですが、それでも強迫ですか?
強迫です。とことん調べて、例外探しをする強迫を「情報強迫」と呼んでいます。
子どもにもできますか?
可能です。日記を書いてもらうなどの課題を行動療法ではよく使います。ホームワーク(宿題)と呼びます。いい年した大人よりも子どもたちのほうが真面目に宿題をやってくれるので、治りも早いです。
知的障害があると医師から診断されています。それでもできますか?
可能です。行動療法は犬や猫などのペットに生じる不安や強迫の治療にも使われる方法です。家族の協力がある場合は、知的障害のある子どもの方が治療しやすい場合があります。頭でっかちな大人と違って、自分独自の理屈でなんとかしようとはしないからでしょう。
前医から発達障害と診断されました。行動療法はできないのですか?
行動療法はもともと適応範囲が極めて広い治療法です。全く自発語が出ない重度の自閉症児に対して言語訓練は行動療法にしかできません。遺尿症や分離不安に対する治療も行動療法が得意とするところです。犬や猫の足舐めなどに対しても行動療法ができます。発達障害があるなら、それは行動療法を使うべき理由です。
強迫性緩慢と診断され、ERPは効果がないと言われました。原井クリニックではどんな治療をするのですか?
強迫性緩慢はメンタルアクト(心の中の儀式)と呼ばれる、認知的な強迫儀式が主体です。これからどう行動するのか、計画を考え、踏ん切りがついてから行動しようとする結果、かえって行動ができなくなります。「今朝だけはちゃんと時間通りに起床しよう」と考えることがじゃまになって、起床できなくなるのです。原井クリニックではこれを「脳内潔癖症」と呼び、行動の計画が中途半端のままでも行動することを目指します。財布から物を出す、家の内と外の境界線をまたぐなどの実際の行動を通じて、あいまいな計画のまま、思いつきで行動したり、雑念が頭に残ったまま行動することを連続して行います。
トイレのエクスポージャー/忘れ物エクスポージャーがあると聞きました。私の強迫は不潔/確認ではないのですが、トイレ/忘れ物を私もするのですか?
その通りです。一方、自分が困っている症状は手洗い/加害/確認だけだから、他のことは嫌だからしたくない、とおっしゃる方は普通です。「困っているからここまでは治したい、でもあそこまでするのは嫌だ」 「先生はあそこまでしないと保証してくれるだろうか ? ここまで/あそこまでの線引きはどう伝えたら良いのだろうか?」治療の前にこんな風に悩むのもごく普通のことです。線引きに悩むのをやめることも治療の目的です。
薬は必要ですか?
薬によりけり、薬を使う症状や場面によりけりです。SSRIの場合、OCDやパニック発作、慢性疼痛の再発・再燃を予防してくれます。長年症状が落ち着いていた方の半分程度の方が、薬をやめた後に症状がぶり返します。一度、やめてぶり返した経験がある方は、またやめるとほとんどの方がぶり返すようです。抗不安薬の場合、スピーチ前など特定の場面で緊張するという方は薬のメリットが大きいでしょう。すぐにその場だけ効いてくれます。一方、薬自体は強迫観念を和らげることはできても、強迫儀式を止めることはできません。行動療法の併用が必要です。
薬を使いたくないのですが、治せますか?
SSRIを使わなくても、起きる考え自体・やってしまう行動自体を止める行動療法はできます。まだ強迫症を発症してから日が浅い、あるいは子どもであるといった場合は行動療法だけで治療することもあります。ただし、もし薬を飲むこと自体に対する嫌悪感・拒否感が強い場合は、エクスポージャーの目的で薬の服用を計画することがあります。極端な「薬嫌い」も強迫の一つです。
薬はやめられますか?
SSRIをやめること自体は簡単です。やめてから、2,3ヶ月して起こる再発や再燃が問題になります。抗不安薬の場合はやめてすぐに不眠や多夢、肩こり、こむら返りなどが生じることがあります。不眠や多夢については睡眠に対する行動療法を行うことで、1,2ヶ月で普通にもどります。
いつか薬をやめられますか?
「症状が良くなれば薬をやめてもよいはずだ」とほとんどの方が考えます。睡眠薬や抗不安薬、鎮痛剤のような対処療法の薬はその通りです。問題はSSRIのような再発・再燃予防のための薬をやめることです。強迫観念を火に例えればSSRIは頭の中の燃えやすいものを難燃性に加工する薬です。SSRIを減らしたり、やめたりしても2,3週間は強迫は戻ってこないでしょう。しかし、2,3か月たつと再発・再燃する方が徐々に増え、1年では半分程度になります。逆に半分の方はERPを続けて再発の危機を乗り越えます。SSRIをまだ一度もやめたことがない方は一度試す価値はあるかもしれませんが、一度、再発を経験された方は継続をおすすめします。
妊娠予定・妊娠中・授乳中です。薬はどうしたらいいですか?
原井個人としては、SSRIのみの継続をおすすめしています。胎児に問題が生じる可能性はSSRIを使っても変わらないこと、出産後のマタニティーブルー・産後うつ、強迫症の悪化がSSRIの継続によって予防できるからです。
予約は必要ですか?
必要です。予約なしで来院されたときは受付で予約を取っていただき、後日改めて来ていただくことになります。予約はお電話(03-3538-6055)のほかにオンラインでも受け付けています。
予約料はいくらですか?
厚生労働省が定める選定療養(保険外併用療養費)として税込1,100円がかかります。一部、予約料がかからない時間帯も設定しています。
予約料を取るのはなぜですか?
待ち時間を軽減する体制を整えることで、効果的な診療を行うためです。
原井クリニックは強迫症だけを診ているのですか?
原井クリニックは行動療法に特化したクリニックです。行動療法の適用範囲は広く、うつ病やパニック症、社交不安症といった疾患の治療、多剤大量になっている方の薬の整理なども行っています。
原井クリニックに苦手なものはありますか?
慢性精神障害の方に対する社会復帰を目指したリハビリテーションはできません。精神科ソーシャルワーカーなどの専門スタッフがおらず、デイケアなどのリハビリ施設がないからです。認知症には簡単なスクリーニングテストはできますが、脳の検査はできません。また、発達障害の診断に必要な心理検査は行っていません。精神疾患のために休職中の方で、疾患の回復後に職場からリワークの利用を求められた場合、他施設をご紹介することになります。
自立支援医療による保険診療自己負担の減免は受けられますか?
はい、自立支援医療(精神通院)が使えます。自立支援を使用するためには医療機関の指定が必要です。詳細は居住地の市区町村窓口にお尋ねください。
療育医療は受けられますか?
児童福祉法に基づく療育医療の指定は受けておりません。
生活保護法の医療扶助は受けられますか?
2025年10月31日をもって生活保護法等指定医療機関を辞退することになりました。
労災保険は使えますか?
労災保険指定医療機関ではありません。
駐車場・駐輪場はありますか?
契約している駐車場・駐輪場はありません。近隣の駐車場は、日土地京橋ビル駐車場、タイムズ京橋エドグラン、公道のパーキングメーターなどがあります。
コンビニはありますか?
徒歩5分圏内にファミリーマート宝町店、セブンイレブン京橋駅前店があります。
喫煙場所はありますか?
原井クリニックがある藤木ビルの敷地内は全面禁煙です。
近隣のホテルの紹介はありますか?
ご自身でご予約をお願いしております。
調剤薬局は近くにありますか?
徒歩圏内にユニスマイル薬局京橋店、クオール薬局京橋店、ニックハート薬局などがあります。
他人に受診や薬についてどのように説明するか迷うことがよくあります。
就職については、相手からの質問がない場合は、何も言わないほうが良いでしょう。強迫に対して職場からの特別な対応が必要になる場面はあまりなく、強迫に対する対応の仕方は本人が一番良くわかっているからです。
面接で繰り返し聞かれたときには「以前、一種の癖のためにメンタルクリニックを受診していたことがあるけれど、今は問題がなく、仕事には支障がありません。主治医からも大丈夫といわれています」で良いでしょう。さらに聞かれた場合には強迫症についての相手の知識を尋ねてみましょう。強迫症をうつ病やパニック障害などと混同し、自殺や病欠を心配している場合があります。
ただし、有休がない、仕事のシフトに合わせると受診日が合わないなどの場合は職場の理解を得ておいたほうが良いでしょう。受診日を確保するためです。
今後、結婚や同居する相手には説明しておいたほうがよいでしょう。自宅などのプライベートな場所では強迫が生じやすいことが最初からわかっていれば、家族も巻き込まれないようにできます。
医療保険、生命保険の加入時は、受診の事実を正直に伝えてください。実際に病気になって保険金を請求した時に、支払いを拒否されてしまうためです。
強迫症に対する一般の人の理解はいわゆる潔癖症・確認癖ぐらいに留まります。それ以外の加害恐怖や整理・順序に対するこだわり、皮膚むしりなどについては知らないことが普通です。身近な人に理解してほしい場合は、一緒に受診されることもおすすめします。